- こう
- I
こう【亢】二十八宿の一。 東方の星宿。 亢宿。 あみぼし。IIこう【交】(1)つきあい。 まじわり。
「~を結ぶ」
(2)年・月・季節のかわりめ。III「夏秋の~」
こう【侯】(1)大小名。 諸侯。「老~」
(2)五等爵の第二位。 侯爵。IVこう【候】時候。 季候。V「盛夏の~」
こう【公】※一※ (名)(1)おおやけ。 おもてむき。 官府。 個人に対するもの。「~と私(シ)の別をわきまえる」「義勇, ~に奉ずる」
(2)五等爵の第一位。 公爵。※二※ (代)二人称。 封建領主・大臣・身分の高い人など, また一般に他人を敬っていう語。 また, 同輩の者にも用いる。 貴公。「~もっていかんとなす」
※三※ (接尾)(1)身分の高い人の名に付けて, 敬意を表す。「家康~」
(2)人や動物の名前に付けて, 親しみ, あるいはやや軽んずる気持ちを表す。VI「忠犬ハチ~」「熊~」
こう【功】(1)成しとげた仕事。 特に成功をおさめた立派な仕事をいう。 手柄。 いさお。 功績。「~を急ぐ」「立案者として~があった」「~に報いる」
(2)経験の蓄積。 年功。「年の~」「舞台では随分~を積んだ古強者(フルツワモノ)である/社会百面相(魯庵)」
~入(イ)・る年功を積む。「いみじう~・りたる声の少し枯れたるして, 千手経(センズキヨウ)をぞ読むなる/狭衣 2」
~成り名遂(ト)・げる一つの事業を成しとげて, 名誉もあわせて得る。~を奏・する〔事の成功を君主に奏上する意〕事が成就する。 成功する。 奏功する。VIIこう【劫】(1)〔仏〕〔梵 kalpa の音訳「劫波」の略〕ほとんど無限ともいえるほどの長い時間の単位。 具体的な長さは諸説あって一定しない。(2)囲碁で, 交互に相手方の一石を取ることができる形。 これを反復すると勝負がつかないため, 一手以上他に打ったあとでなければ取れない。「~を立てる」
~を経(ヘ)る長い年月を経る。 年功を積む。VIIIこう【効】ききめ。 しるし。 効能。IX「薬石~なく不帰の人となった」
こう【口】助数詞。(1)人を数えるのに用いる。 たり。「狛(コマ)の虜(トリコ)十~を献ず/日本書紀(欽明)」
(2)刀などを数えるのに用いる。X「千~の剣/読本・弓張月(続)」
こう【国府】「こくふ(国府)」の転。XI「武生(タケフ)の~に我はありと, 親に申したべ/催馬楽」
こう【孝】両親を敬い, 子としての道を尽くすこと。 孝行。「親に~を尽くす」
~は百行(ヒヤツコウ)の本(モト)〔白虎通(攷黜)〕孝行はすべての善行の根本となるものである。XIIこう【工】名詞の下に付けて接尾語的に用いる。(1)工員・職工の意を表す。「旋盤~」「熟練~」
(2)工業高校の略。XIII「浜松~」
こう【巧】たくみな技術。XIV「文(アヤ)は人の目を奪ふ。 ~は人の目を掠める/虞美人草(漱石)」
こう【幸】さいわい。 しあわせ。~~か不幸かXVこう【恋う】※一※ (動ワ五[ハ四])思い慕う。 愛する。 懐かしく思う。「母を~・う」「故郷を~・う気持ちがつのる」「妻~・ふ鹿の音/松の葉」
※二※ (動ハ上二)(1)人, 特に異性を恋する。 ほれる。「出で立たむ力をなみと隠り居て君に~・ふるに心どもなし/万葉 3972」「まだ見ぬ人を~・ふるものとは/伊勢 101」
(2)慕わしく思う。「君をこそ兄君よりはいみじう~・ひ聞え給ふめれ/大鏡(伊尹)」
(3)(ある場所や物を)懐かしく思う。「人皆の見らむ松浦の玉島を見ずてや我は~・ひつつ居らむ/万葉 862」「月のおもしろかりける夜, こぞを~・ひて/古今(恋五詞)」
〔本来は上二段活用の語で, 中世末期以降四段にも活用された。 現代語では「恋い慕う」「恋いこがれる」のように複合動詞として多く用いられ, 単独で用いられることは少ない〕XVIこう【恍】(1)うっとりするさま。「~として夢み惚として覚め/世路日記(香水)」
(2)はっきり見分けがたいさま。XVII「~たる月日を返すに難きいたづらの身や/ふところ日記(眉山)」
こう【抗】名詞の上について, 「…に抵抗する」「…をおさえる」などの意で複合語を作る。XVIII「~ヒスタミン剤」「~貧血作用」
こう【斯う】※一※ (副)〔「かく(斯)」の転〕(1)ある場面の様子をさしていう。 話し手の身近の場面についていう。「~なればしめたものだ」「~暑くてはかなわない」
(2)話した内容や心の中で考えた事柄などをさす。「~しろああしろと口うるさい」「山路を登りながら~考えた/草枕(漱石)」
(3)事態のなりゆきが限界に達したことを認める気持ちを表す。 もうこれまで。「祇王すでに今は~とて出でけるが/平家 1」
(4)動作を軽く指示する。「さて私はもう~参りまする/狂言・末広がり(虎寛本)」
※二※ (感)(1)言いよどんだり, ためらいながら言ったりするときに用いる語。 あの。 ええと。「~, どうだえ, 狼は出やしますまいねえ/塩原多助一代記(円朝)」
(2)呼びかけの言葉。 ぞんざいな言い方。 おい。 なあ。XIX「~, おめえん所のおかみさんもお髪(グシ)はお上手だの/滑稽本・浮世風呂2」
こう【更】一夜を五等分した, 時間の単位。 初更・二更・三更・四更・五更とする。 季節によって長さが異なる。 中国・朝鮮の古い制度の伝わったもの。~闌(タ)・く夜がふける。XX「~・け夜静かにして/謡曲・采女」
こう【校】※一※ (名)(1)学びや。 学校。「わが~の選手」
(2)校正。「~を重ねる」
※二※ (接尾)助数詞。 校正の回数を数えるのに用いる。XXI「初~」「三~」
こう【江】(1)大きな川。(2)長江の別名。(3)琵琶湖の古名。XXII「~をわたりて坂本にまゐりしかば/正統記(後醍醐)」
こう【溝】数の単位。 穣(ジヨウ)の一万倍。 すなわち一〇の三二乗。 [塵劫記]XXIIIこう【爻】易(エキ)の卦(ケ)を組み立てる横画。 「—」を陽, 「--」を陰とする。→ 八卦XXIVこう【甲】(1)カメ・カニなどの体をおおう硬い殻。 甲羅(コウラ)。「亀の~より年の功」
(2)手足の表面。 手首から先の, 外側の面。 足首から先の, 上側の面。「手の~」
(3)十干の第一。 きのえ。(4)等級・成績などをつけるときに用いて, 一番上位を表す。「殊勲~」
(5)二人以上の人, または二つ以上の物事があるとき, その一つの名にかえて用いる。「~は乙に賃貸料を支払う」
(6)よろい。 かぶと。 [和名抄](7)箏(ソウ)・琵琶などの胴の表面または背面の湾曲した板の部分。(8)「かん(甲)」に同じ。~が舎利(シヤリ)にな・る〔「甲」は頭蓋骨, 「舎利」は火葬後に残る骨〕堅い甲が砕けて舎利になる意で, めったにないことのたとえ。 絶対に, どんなことがあっても, の意で用いる。 舎利が甲になる。「~・るとても親の手へはわたすまい/浄瑠璃・薩摩歌」
~に着る他の権勢をたのんでいばる。 笠にきる。XXV「威をふるふ, その山三めを~きて/浄瑠璃・反魂香」
こう【皎】白く光り輝くさま。XXVI「~として玉の如く麗はしきも/思出の記(蘆花)」
こう【稿】詩文などの下書き。 原稿。「~を草する」
~を起こ・す原稿を書き始める。 起稿する。~を脱・する原稿を書き上げる。 脱稿する。XXVIIこう【紅】くれない。 べに色。~をさ・す紅色になる。 特に, はじらいなどで顔が赤くなる。 紅を潮(チヨウ)す。XXVIIIこう【綱】生物分類上の一段階。 門の下位, 目の上位に位置する。 脊椎動物門の哺乳綱・鳥綱・爬虫綱など。→ 亜綱XXIXこう【薨】貴人の死。 特に律令制では, 親王および三位以上の人の死にいう。 薨去。XXXこう【蝗】イナゴ。 また, イナゴによる災害。XXXIこう【行】(1)行くこと。 特に, 旅行などで歩きまわること。「~を共にする」
(2)隋唐時代, 都市の特定地区(市)に限って営業を許された同業種から成る商店街。(3)唐の中期以後, 同業者が営業独占と互助の目的で作った商人組合。(4)〔もと楽府(ガフ)の楽曲のこと〕古詩の一体。 唐代以降は, 多く叙事詩。XXXII「琵琶~」
こう【請う・乞う】(1)ある物を与えてくれるよう, またある事をしてくれるよう相手に求める。「この道の専門家に教えを~・う」「近日上映。 ~・う, 御期待」「みどり子の乳(チ)~・ふがごとく/万葉 4122」
(2)願いの叶(カナ)うよう神仏に祈る。XXXIII「天地(アメツチ)の神を~・ひつつ我(アレ)待たむはや来ませ君待たば苦しも/万葉 3682」
こう【講】(1)講ずること。 講義すること。 講義。(2)僧による仏典の講読や説法を中心とする仏事。 法華八講・最勝講など。 講会(コウエ)。(3)僧や信徒が集まって行う各種の仏教儀式。 涅槃(ネハン)講・地蔵講・報恩講など。(4)中世中頃以後, 民衆のあいだで作られた仏事や神事を行うための結社。 寺院・神社などを維持したり, 集団参詣を行なった。 近世になると, 行楽を主目的として名山・霊場などへ集団参詣するためのものも生まれた。 富士講・伊勢講など。(5)貯蓄・融資などのための相互扶助団体。 頼母子(タノモシ)講など。XXXIVこう【貢】みつぎもの。XXXV「~を奉る」
こう【鋼】2パーセント以下の炭素を含有する鉄。 炭素鋼ともいう。 製錬の過程で, 銑鉄から炭素を減らして得られる。 炭素含量によって硬さなどの性質が種々に変化する。 鋼鉄。 はがね。 スチール。XXXVIこう【長官】「かみ(長官)」の転。XXXVII「~の殿」「~の君」
こう【項】(1)事柄を順序だてて分けたときの, 一つ一つ。 箇条書きにしたものの各条。 項目。 事項。「次の各~に答えよ」
(2)〔数〕(ア)多項式を構成するそれぞれの単項式。 (イ)数列・級数で, そのおのおのの数や式。(3)首の後ろの部分。 くびすじ。 えりくび。XXXVIII「~を掴んでむずと引き寄せ/義経記 3」
こう【香】(1)焚(タ)いてその匂いを賞するもの。 香木と, 種々の香木・香料を粉末にして練り合わせた練り香とがある。 沈香(ジンコウ)・伽羅(キヤラ)・白檀(ビヤクダン)・麝香(ジヤコウ)など。(2)仏前で焚く香料。(3)「香道(コウドウ)」「香合わせ」の略。(4)〔仏〕〔梵 gandha〕六境の一。 鼻で感じる対象。(5)「香色(コウイロ)」の略。「~のうすものの二藍の御直衣/枕草子 35」
(6)味噌の異名。 [日葡](7)襲(カサネ)の色目の名。 表は濃い香色, 裏は紅。(8)織り色の名。 経(タテ)は濃い香色, 緯(ヨコ)は白。~を聞・く香を焚(タ)いて, そのかおりをかぐ。 また, そのかおりから香をかぎ分ける。~を闘わ・す各自が持ち寄った香を焚(タ)いて, その優劣を競いあう。XXXIXこう【高】姓氏の一。 南北朝時代の武家。 代々足利家に仕え, 師重は足利尊氏を執事として助けた。 師重の子師直・師泰も尊氏を支えたが, 尊氏の弟直義と対立し, 一族は衰亡。XLこう【鵠】白鳥の異名。 くくひ。 こひ。 [和名抄]XLIこう【鸛】コウノトリの異名。
Japanese explanatory dictionaries. 2013.